鍵には、メーカーから供給される「純正キー」と、街の鍵屋さんなどで複製される「合鍵」があります。どちらも鍵穴に差し込んで開け閉めするという機能は同じですが、その品質や信頼性には違いがあり、その根拠の一つとして「鍵番号」が深く関わっています。純正キーは、錠前(シリンダー)を製造したメーカーが、設計データに基づいて作成したオリジナルの鍵です。それぞれの鍵には固有の鍵番号が付与されており、メーカーはこの番号に基づいて、極めて高い精度で鍵を製造します。素材の選定から加工精度、仕上げに至るまで、メーカーの厳格な品質基準に基づいて作られているため、錠前との適合性が最も高く、スムーズな操作感と長期的な耐久性が期待できます。また、純正キーにはメーカー保証が付いている場合が多いのも特徴です。一方、合鍵は、一般的に元の鍵(純正キーまたは既存の合鍵)を鍵屋さんに持ち込み、その形状を複製して作られます。鍵番号から直接作る場合もありますが、多くの場合は物理的な形状コピーです。この複製プロセスにおいて、どうしても微細な誤差が生じる可能性があります。特に、元の鍵がすでに摩耗していたり、複製を繰り返した合鍵だったりすると、その誤差はさらに大きくなります。結果として、作成された合鍵は、鍵穴に差し込みにくかったり、回しにくかったり、最悪の場合は鍵穴を傷つけたり、鍵が抜けなくなったりするトラブルを引き起こす可能性があります。ディンプルキーのように複雑な構造を持つ鍵では、わずかな誤差が動作不良に直結するため、特に注意が必要です。鍵番号は、純正キーの品質を保証する根拠とも言えます。メーカーは鍵番号に基づいて正確な設計データにアクセスし、寸分違わぬ鍵を作成できます。しかし、一般的な合鍵作成では、鍵番号が直接使われることは少なく、あくまで元の鍵の「見た目」をコピーする形になります。そのため、見た目は似ていても、目に見えないレベルでの精度には差が出やすいのです。もちろん、技術力の高い鍵屋さんが純正キーから丁寧に作成した合鍵であれば、問題なく使用できる場合も多くあります。しかし、安価な合鍵作成サービスや、経験の浅い技術者による複製では、品質にばらつきが出やすいのが実情です。では、どちらを選ぶべきでしょうか。日常的に使用する鍵としては、やはりメーカー純正キーが最も信頼性が高く、安心です。