元鍵が手元にないけれど、鍵やキーホルダー、あるいは保証書などに刻印されている「鍵番号(キーナンバー)」は分かる、というケースがあります。この鍵番号を使えば、合鍵を作成できるのでしょうか?答えは「可能ですが、条件と注意点があります」となります。鍵番号は、その鍵固有の識別番号であり、鍵のメーカーが製造時に各鍵に割り当て、その情報を管理しています。この番号があれば、鍵メーカーや一部の正規代理店を通じて、その番号に対応する純正の鍵(元鍵と同じ精度の鍵)を取り寄せることが可能です。つまり、鍵番号が分かれば、理論上は元鍵がなくてもメーカーから直接「合鍵」というよりは「新しい元鍵」を入手できるのです。この方法のメリットは、メーカー純正品であるため精度が高く、確実に使用できる点です。また、鍵穴から無理に形状を読み取ったりする必要がないため、シリンダーを傷つける心配もありません。しかし、いくつかのデメリットと注意点も存在します。まず、メーカーへの注文となるため、手元に届くまでには数日から数週間程度の時間がかかることが一般的です。すぐに鍵が必要な場合には向きません。また、費用も街の鍵屋で合鍵を作るより高くなる傾向があります。さらに重要なのが、セキュリティ上のリスクです。鍵番号は、その鍵を特定するための重要な情報です。もしこの番号が悪意のある第三者に知られてしまうと、勝手に合鍵を注文され、不正に侵入される危険性があります。そのため、鍵番号は他人に安易に見られないように管理することが非常に重要です。鍵本体に番号が刻印されている場合は、キーカバーなどで隠すといった対策も有効です。また、メーカーによっては、注文時に身分証明書の提示や、鍵の所有者であることを証明する書類(保証書など)を求められる場合があります。これは、不正な合鍵作成を防ぐためのセキュリティ対策です。鍵番号からの合鍵作成は、元鍵がない場合の有効な手段の一つですが、時間と費用、そして何よりもセキュリティリスクを十分に理解した上で、慎重に利用を検討する必要があります。