まさかの空き巣被害玄関ロックの盲点


都心から少し離れた閑静な住宅街に住むAさん一家。日中は共働きで家を空けることが多く、小学生の子供が一人で帰宅する時間帯もあるため、防犯には人一倍気を遣っていたつもりでした。玄関ドアには、数年前に交換したばかりのディンプルキータイプのロックが付いており、これで一安心だと考えていました。しかし、ある日の夕方、Aさんが帰宅すると、玄関ドアの鍵が開いていることに気づきました。恐る恐る家の中に入ると、リビングの窓ガラスが割られ、室内が荒らされているのを発見。幸い、家族に被害はありませんでしたが、現金や貴金属などが盗まれていました。警察の現場検証の結果、侵入経路はリビングの窓からで、犯人は窓ガラスを小さく割り、そこから手を入れてクレセント錠(窓の鍵)を開けて侵入した可能性が高いとのことでした。そして、驚くべきことに、犯人は家の中から玄関のサムターン(内側のつまみ)を回して解錠し、玄関から堂々と逃走していたのです。Aさん宅の玄関ロックは、確かにピッキングに強いディンプルキータイプでしたが、サムターン自体には特別な防犯対策が施されていませんでした。犯人は、窓から侵入した後、わざわざ玄関の鍵を開けて逃走経路を確保していたのです。もし、玄関のサムターンが不正解錠対策の施されたもの(例えば、ボタンを押さないと回せないタイプや、カバーが付いているもの)であったなら、あるいは補助錠が設置されていて、内側からしか施錠できないタイプのものであったなら、犯人は玄関からの逃走を諦め、侵入した窓から再び脱出しなければならず、逃走に時間がかかり、発見されるリスクも高まっていたかもしれません。この事例から学ぶべき教訓は、玄関ロックの防犯対策は、外側からのピッキング対策だけでなく、内側からの不正解錠(サムターン回し)対策も同時に行う必要があるということです。また、玄関ドアだけでなく、窓の防犯対策も同等に重要であることも示唆しています。クレセント錠の強化や補助錠の設置、防犯ガラスや防犯フィルムの導入なども検討すべきでしょう。Aさん一家は、この苦い経験を機に、玄関にサムターン回し対策機能付きの補助錠を追加し、窓には防犯フィルムを貼るなどの対策を講じました。「まさかうちが」という油断が、大きな被害を招く可能性があることを、この事例は物語っています。