スライドドアに後付けできる鍵には、様々な種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、設置場所や目的、求めるセキュリティレベルによって最適なタイプは異なります。ここでは、代表的なスライドドア用後付け鍵のタイプをいくつかご紹介し、それぞれの特徴を比較解説します。鍵選びの参考にしてください。まず、最も手軽に取り付けられるのが「簡易補助錠」です。これには、ドアの内側に取り付けるスライド式のロックや、回転させてロックするラッチタイプなどがあります。多くの場合、両面テープや簡単なネジ止めで設置でき、特別な工具や穴あけ加工が不要な製品もあります。主な目的は、室内からのプライバシー確保や、小さなお子さん・ペットの飛び出し防止など、簡易的な施錠です。構造がシンプルなため、防犯性能はあまり高くありませんが、手軽に導入できる点がメリットです。次に、「面付（つらつき）本締錠」と呼ばれるタイプがあります。これは、ドアの室内側または室外側の表面に取り付ける箱型の錠前で、デッドボルト（かんぬき）を鍵で操作して施錠・解錠します。室内側からのみ操作できるタイプと、室外側からも鍵で操作できるタイプがあります。比較的しっかりとした構造で、簡易補助錠よりも高い防犯性能が期待できます。取り付けには、ドアへのネジ止めが必要となり、製品によってはドア枠に受け金具（ストライク）を取り付けるための加工も必要になる場合があります。玄関脇のスライドドアや、ある程度の防犯性が求められる室内の間仕切りなどに適しています。スライドドア特有の鍵として「鎌錠（かまじょう）」も挙げられます。これは、施錠すると鎌のような形をしたデッドボルトがドア枠側の受け金具に引っかかる仕組みになっており、バールなどによるこじ開けに対して強い抵抗力を発揮します。面付タイプの本締錠と同様に、室内側または両側から操作できるものがあります。高い防犯性能が求められる玄関や勝手口のスライドドアへの後付けに適しています。取り付けには、面付本締錠と同様に、ドアと枠へのネジ止めや加工が必要です。さらに、近年では「電子錠」や「スマートロック」といった選択肢も出てきています。