まさか自分が、と誰もが思うでしょうが、鍵が鍵穴の中で折れるという悪夢は、ある日突然、私にもやってきました。それは残業で疲れ果てて帰宅した深夜のこと。いつものように玄関の鍵を開けようとした瞬間、「ポキッ」という鈍い音と共に、手に持っていた鍵の頭部分だけが残り、先端が鍵穴の中に消えてしまったのです。頭が真っ白になりました。時刻は深夜一時過ぎ、疲れと焦りでどうにかなりそうでした。とりあえずスマホで「鍵 折れた 取り出し方」と検索し、いくつかの記事を読み漁りました。ピンセットでつまみ出す方法や、瞬間接着剤を使う方法などが紹介されていましたが、深夜でピンセットなんて持っていないし、接着剤はリスクが高いと書かれている記事が多く、怖くて試せませんでした。鍵穴を覗き込むと、折れた先端がほんの少しだけ見えているような気もします。何か細いもので引っ掛けられないかと考え、手持ちのヘアピンを伸ばして試してみましたが、うまく引っかかりません。むしろ、奥に押し込んでしまいそうで、すぐに断念しました。途方に暮れ、深夜でも対応してくれる鍵屋さんを探すことに。数件電話をかけ、ようやく比較的早く来てくれそうな業者を見つけました。電話口で状況を説明すると、「無理にいじらないで待っていてください」とのこと。待つこと約40分、鍵屋さんが到着しました。作業員の方は手際よく専用の細い工具をいくつか鍵穴に差し込み、カチャカチャと音を立てながら作業を進めます。ものの5分も経たないうちに、「はい、取れましたよ」と、折れた鍵の破片を見せてくれました。あまりの早業に、ただただ感心するばかり。結局、出張費と作業費でそれなりの金額にはなりましたが、あのまま自分で悪戦苦闘していたら、もっとひどいことになっていたかもしれません。鍵屋さんは、「折れた鍵は金属疲労が原因のことが多いので、少しでも鍵の回りが悪くなったら早めに交換を検討した方がいいですよ」とアドバイスをくれました。今回の経験で学んだのは、トラブル発生時は慌てず、まず状況を確認すること。そして、自分でできそうにないことは、無理せずプロに頼るのが一番だということです。あの深夜の絶望感は二度と味わいたくないですが、良い教訓にはなりました。皆さんも、鍵の調子が悪いと感じたら、早めのメンテナンスや交換を心がけてください。私の体験が、少しでも参考になれば幸いです。